新生児のケイツーシロップ ~赤ちゃんの頭蓋内出血予防に必須です~

点滴される赤ちゃん 産科
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 世の中には様々な情報があふれています。

何でもそうですが、医学的な情報に関しても、間違ったものが数多く出回っています。

特にSNSは、様々な情報やそれについての意見があふれており、もう訳がわからない状況ですよね。

 少し前だと、コロナワクチンをあたかも毒であるかのような誤った情報を強い口調で断定するものがあり、見ていて悲しくなりました。

 

 

 

 そして、最近はK2シロップが毒であるかのような誤情報が拡散されています。

 これは赤ちゃんの命にかかわるので、決して許されません。間違った情報に惑わされて、大切な赤ちゃんの一生を台無しにすることが決してないように強く願います。

 

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1)K2シロップとは

 新生児や乳児のビタミンK欠乏性出血症の予防のために、新生児に生後飲ませるビタミンKのシロップ剤のことです。生後すぐに(産後の入院中から)内服が始まります。

2)なぜ必要?

  ビタミンKは止血時に必要なビタミンなので、不足すると血が止まらない・止まりにくい状態になります。

  vビタミンKには、ビタミンK1(緑黄色野菜、海藻などに含まれる)とビタミンK2(腸内細菌や納豆菌で作られる)の2種類があり、新生児や乳児では以下の理由でビタミンK2が不足するため、薬で補う必要があります。

・腸内細菌が未熟なため腸内で作れない
・胎盤を通過しにくいため、産まれた時の蓄えが少ない
・母乳中に少ない

 

3)もし投与しないと?

  以下の病気が起こりやすくなります。

 ◎新生児期:新生児メレナ(新生児期に起こる出血症状の総称)。腸管の出血(吐血や下血)が多い。

 ◎乳児期:頭蓋内出血。死亡例や後遺障害を残す例などの重症例が多い

 

  特に、重症化しやすい頭蓋内出血は、K2シロップ投与による予防が極めて重要、かつ有効です。

 

 2009年10月には、山口県で、助産師が自分の信念に基づき、意図的に(隠ぺいしてまで)K2シロップを投与しなかったため生後2か月で赤ちゃんが硬膜下血腫のために亡くなってしまう、という極めて遺憾な事故が起こっています。

 

4)重大な健康被害につながる可能性のある誤情報の拡散は、犯罪(重罪)として罰するべき!

 医師は、診断を下す・治療を行う(薬を出す、手術をする など)などの診療行為に全責任を負います。診断や治療が適切でないために思わしくない経過になった場合、その責任はもちろん医師にあります(100%正しい診断、治療を行っても、思わしくない経過になる場合も、残念ながら多々ありますが)。我々は常にその覚悟をもって診療行為を行っています。

 命にかかわるような・重大な健康被害につながるような誤情報を拡散する人は、そのせいで死んだり具合悪くなった方に対して責任を取る覚悟があるのでしょうか?そんな人はおそらく皆無でしょう。

 個人的には、重大な健康被害につながる可能性のある誤情報の拡散は、犯罪として罰を与えるべきと強く思います。少なくとも、医師免許がないのに医療行為を行う事と同じくらいの悪質な犯罪行為だと思います。もしもそれで死んだら殺人幇助罪でよいと思っています。

 間違った情報に振り回されて、大切な赤ちゃんを危険にさらすことだけは無いようにしてほしい、と強く願います。

 

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                           産婦人科医 まさ

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