先天梅毒 ~梅毒の大流行から赤ちゃんを守れ!!~

2人とも股間を押さえているカップル 性感染症
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 近年、梅毒患者数が男女ともに劇的に増加しています。
 2022年の年間患者報告数は、10年前の15倍以上の約1万3000人です。女性では、10~30歳代が特に増えています。

 若い女性で大きな問題となるのが、先天梅毒(胎盤を介してのお腹の赤ちゃんへの感染)です。

 梅毒に感染した状態での妊娠では、無治療だと40~80%、治療しても14%は先天梅毒となってしまうという報告もあります!!そのため、妊娠中ではなく「妊娠前の」検査や治療が重要です。

 ブライダルチェックや妊活開始時には、必ず梅毒検査も希望しましょう!

2024年6/18追記

 その後も増え続けており、2023年の梅毒感染者数は、約1万5千人、先天性梅毒は37人、といずれも現在の集計方法になった1999年以降で過去最多となっています。

 現在、10代の妊婦の200人に1人は梅毒に感染しています。

 

 

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1)梅毒とは

 【原因】

 梅毒トレポネーマという細菌の感染で引き起こされる病気です。

 以前は、妊娠初期や手術前の検査で偶然見つかるケースが大半でしたが、近年、世界的に患者数が男女ともに激増しており、2022年の日本での年間患者報告数は、10年前の15倍以上の約13,000人となりました(報告数ですので、実際はもっとたくさんの患者がいると推測されます)。
 患者数は、男性では20~50歳代と幅広い年齢層で、女性は10~30歳代で増えています。

 

【感染経路・機序】

 感染者の血液や体液に含まれる梅毒トレポネーマが、粘膜や皮膚の傷口などから体内に入り込むことによって感染します。健康な皮膚などからは感染しません。

 粘膜どうしの接触がある性行為(アナルセックス、オーラルセックスを含む)が主な感染経路ですが、患者の血液や体液が、直接粘膜や皮膚の傷口に触れる事での感染(性行為無し)も報告されています。キスでも感染する可能性があります

2)症状 ~感染が拡大しやすい理由はここにある~

  詳細は、他のサイトにお任せしてここでは割愛します。

  重要なことは、非常に診断が難しい病気である、という事です。理由は以下の通りです。

   ・非常にさまざまな症状を示すため、そもそも梅毒を疑う事が難しい

   ・以下のような比較的典型的な症状・経過でも、受診しないケースが多い

●感染後3~4週間で、感染部位(性器、肛門、口など)に、できもの、しこり、ただれ などができます(第1期梅毒)。痛みのない鼠径部のリンパ節の腫れを認めることもあります。しかし、数週間で自然に軽快消失します。また、痛み・かゆみ等の症状が無いことが多く、そもそも感染部位の病変の存在に気づかないことも多々あります。

気づかない or 自然に治ったと思う → 病院へ行かない → 診断されないまま、悪意なくsexの相手に病気が広がっていく。これが感染拡大の要因です。

 

●一旦何もない状態が続き、感染後3か月ほどで手のひらや足の裏など全身に発疹ができます(第2期梅毒)。しかし、これまた数週間~数か月で自然に軽快消失します(再度気づく、受診するチャンスを逃す原因)。

3)先天梅毒

 若い女性で問題となるのが、先天梅毒(胎盤を介した、お腹の赤ちゃんへの感染)です。

 梅毒に罹った状態で妊娠すると、無治療の場合40%の確率で先天梅毒になります。また、厄介なのが、適切な治療をしても、14%は先天梅毒になってしまいます

 しかも、2)症状 で触れたように、診断がとっても難しいんです。

 よって、妊娠前に検査を行い、治療を行う事が重要です。

 現状、日本では公費負担で全ての妊婦が「妊娠初期に」梅毒のスクリーニング検査を受けられますが、正直それでは遅いんです!

 

【先天梅毒の症状】

1)妊娠中: 流産・死産・低出生体重 など

2)生後: 骨の異常・全身の特徴的な皮疹・難聴・視覚障害・知的障害 など

 

 詳細な症状や予後 等は他のサイトにお任せして割愛します。

4)最後に

 また、梅毒は検査結果の解釈がこれまた難しくて、よく質問を受けます。

 とっても長くなるので、別にまとめました。

梅毒の検査と治療 ~検査とその判定がとってもわかりにくい~
  今回は、先天梅毒の続編(まだ見ていなくて興味のある方は、以下のリンクからご覧くださ...

最後にもう一度。

・梅毒が爆発的に増えている。しかし、診断が難しいため、自覚が無くても知らぬ間にうつされたりうつしたりしている可能性がある。

妊婦の梅毒は、治療しても14%は先天梅毒となってしまうため、「妊娠前の」検査や治療が重要。→ブライダルチェックや妊活開始時には、必ず梅毒検査も希望を!

 

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                            産婦人科医 まさ

コメント

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