【思ったより安全?】産婦人科専門医が教える!コロナウイルスと妊娠

母の手を握っている赤ちゃん 産科
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コロナウィルスの感染拡大が止まりませんね。妊婦さんとそのご家族は、不安な日々をお過ごしと思います。その不安を少しでも軽減できるよう、現段階で分かっていることをまとめてみました。少しでも、不安を取り除くお手伝いになれば嬉しいです。

・妊婦は感染すると重症化しやすい
・早産、死産のリスクが上がる。
・流産のリスクが若干上がる。
・授乳も含め、赤ちゃんへの感染リスクはあまり高くなさそう。

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はじめまして。
産婦人科医まさ と申します。20年ほどこの仕事をしている、産婦人科専門医・指導医です。
外来での情報提供や啓蒙に限界を感じたため、ブログを始めました。
「わかりやすく」をコンセプトに、専門的な医学知識は、あえて省略しています。
皆さんをより良い生活へ導く、有料級の情報を提供していきますね。宜しくお願いします。

1)はじめに~現代社会で正しい情報を得る大変さ~

現代は、ググればある程度の情報がすぐに得られるので、便利ですよね。
ただ、情報があふれているため、その中から正しい情報を取捨選択する必要があります。医学情報は、特にその判別が重要だし難しいです。

個人的には、以下の様にアドバイスしています。

・検索上位=正しい情報 では決してない (重要)

・病院HPや医者のブログの情報であれば、大間違いはない可能性が高い

間違った情報に踊らされる方が減るお手伝いを、このブログができると嬉しいです。

2)コロナウイルス感染症と妊娠

この病気そのものについての説明は割愛します。各自、テレビに出るような有名な先生のサイト、SNSをググってみてください。

ここでは、妊娠との関係に絞ってお話ししていきますね。

大前提として、正直まだ不明な点が多いです。
なぜなら、赤ちゃんへの影響は、すぐにわかるものはごく一部だからです。赤ちゃんは、自分で「こういう風に具合悪い」と言えませんからね。なので、赤ちゃんへの影響(胎内、分娩前後、授乳 などによる感染頻度やそれらの影響)については、長い期間を追いかけてみないと正直わからないのです。

それでも、この1年間で分かってきたこともあるため、それをまとめます。ただし、今後変わる可能性がある、ということをご理解下さい。

3)病気と妊娠の関係についての考え方

妊娠と病気について考える時の原則は、以下の両方を考えることです。
①病気が妊娠に及ぼす影響 ②妊娠が病気に及ぼす影響

②が、一般の方にはすこしピンと来にくいかもしれませんね。

4)コロナウイルス感染症が妊娠に対して及ぼす影響

 わかっている範囲では、概ね、大きな問題はなさそうです。

・早産、死産のリスクが上がります。

 コロナに感染していない妊婦と比較して、早産および死産のリスクが各々3倍になります

・流産のリスクが若干上がります。

・母子感染(胎児(=おなかの中の赤ちゃん)や、新生児(=生まれてすぐの赤ちゃん)への感染)のリスクはありますが、重症度や頻度は高くなさそうです。

・授乳のリスクもあまり高くなさそうです。

5)妊娠がコロナウイルス感染症に対して及ぼす影響

 妊娠することで、コロナウイルス感染症は重症化しやすくなります。

高齢(35歳以上)、肥満(BMI30以上)、基礎疾患(高血圧や高脂血症など)が特に重症になりやすいそうです。

 コロナに感染していない妊婦と比較すると、以下の通りになるという報告がありました。

 ・死亡リスクが18倍

 ・ICUに入室するリスクが71.6倍

 これだけ読むと、すごく危険な感じがしますよね。

 

でも、同じ報告にはこうも書いています。

重症化率は13%、死亡率は0.6%。つまり、妊婦がコロナに感染しても、10人に1人しか重症化しないし、200人に1人しか死にません。

 

これが、医学情報のとらえ方の難しいところです。

 もともと5%で発生するものがリスク18倍になったら、90%になってほぼ全滅です。

 しかし、もともと0.1%で発生するものがリスク18倍になっても、1.8%でまだまだ戦えます。

こういうことです。リスク〇倍、と聞くととても怖い気がしますが、絶対数も考えることでより正確な判断ができます。

6)結論

・正直なところ、まだ不明な点が多い
妊婦は感染すると重症化しやすい。ただし、コロナに限らず、インフルエンザや細菌性肺炎など、肺の病気は全般的に妊婦で重症化しやすい。
・早産、死産のリスクが上がる。
・流産のリスクが若干上がる
・母子感染(胎児(=おなかの中の赤ちゃん)や、新生児(=生まれてすぐの赤ちゃん)への感染)のリスクはあるが、重症度や頻度は高くなさそう。
・授乳のリスクもあまり高くなさそう。

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個人的な話で恐縮ですが、私は東日本大震災の被災地で勤務した経験があります。大変な、過酷な状況であればあるほど、出産は希望の光として闇を明るく照らします。間違いありません。

各自ができる予防をしっかり行い、一つでも多くの希望の光を灯せるようにしていきましょう。

コロナに限らず感染症全般に言えることですが、感染予防は、妊婦さんだけでなく、その周囲(家族、職場)の協力が非常に重要です。

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産婦人科 まさ

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