毎月やってくる月経。以下のような症状で困っていませんか?
・月経痛がひどい(月経困難症)
・月経の量が多い(過多月経)
・月経前にメンタルが落ちる、イライラする(PMS:月経前症候群)
・なのに生理がいつ来るかわからない(月経不順)
これらを全て解決してくれる薬があるとしたら、試してみたくありませんか?
あるんです。しかも、1日たったの100円以下です。
うまく使うと、月経が来るタイミングを自分で調節できたり、月経を2~4か月に1回に減らすことまで出来ちゃいます!
その答えは、(超)低用量ピル です。
もともとは避妊(排卵させない)目的の薬なので、予期せぬ妊娠を予防することもできます。排卵に関しては、内服をやめれば、3か月以内にほとんどの方が内服前の状態に戻ります(排卵するようになります)。
また、ヒトが生涯で排卵できる卵の数は産まれた時に決まっているので、排卵を防ぐことは、将来の不妊の確率を下げてくれます。また、卵巣癌になる確率は排卵の数と比例するので、将来卵巣癌になる確率もさがります。
日本では、避妊よりも月経症状改善を目的として飲んでいる方が圧倒的に多いです。
私が女性なら、子供が欲しいと思うまで飲むと思います。
人生が変わる薬の一つだと、個人的には思います。
1)はじめに
月経のタイミングを調節(前後にずらす)できます(原則1層性のピルのみ)。
月経を2~4か月に1回にすることもできます(薬の種類による)。
月経中、月経前の体調不良が軽減します。
予期せぬ妊娠も防げます。
始めてしまえば、「もっと早く飲めばよかった」という患者さんが大半です。
でも、日本での普及率はかなり低いです。非常にもったいない。試してみてあわなければやめればよいだけなので、皆さんに気軽に試してほしいな、と強く思います。
ただし、ピルに限ったことではありませんが、医療行為・治療に絶対はないですし、効果や副作用の出方には個人差があるので、全員にとっていい薬になるわけではない(そんな薬は世の中に一つも存在しない)、ということをご理解のうえで読んでくださいね。
2)ピルってなに?低用量って何が低いの?
◎エストロゲン、プロゲステロン という2種類の女性ホルモンが入った薬です。
2種類とも、卵巣で自然に作られるホルモンなのですが、
・多すぎたり少なすぎたり
・突然必要以上に増えたり減ったり
・2種類のバランスが悪かったり
すると諸々の体調不良の原因となります。そこで、お薬で理想的な量、バランスでその2種類のホルモンを調整することで、それらを予防、改善することが出来ます。
◎ホルモン含有量で、超低用量、低用量、中用量 の3種類に分類されます。
超低用量が一番ホルモン量が少なく、中用量が一番多いです。
長期間飲み続ける場合は、超低用量か低用量のどちらかを使います。
ホルモン含有量が少ないほど、危険な副作用である血栓症が起こりにくいですが、治療効果が不充分になったり不正出血等のマイナートラブルが起こりやすくなったりします。
きちんと効果が得られ、かつホルモン量が少ないもの が理想的です。その量には個人差があります。
各々の中でも種類がたくさんあります。それぞれに特徴や出やすい副作用があるので、どれを使うかは主治医とよく相談しましょう。
3)ピルのメリット
月経前症候群(PMS)について詳しく知りたい方はコチラ
【もう我慢しない】産婦人科医が教える!月経前症候群(PMS)は薬で治る! – 産婦人科医まさ のブログ (hi-blog-happydays.com)
②月経の量が減ります
③予期せぬ妊娠を予防できます
④薬の種類によっては(1相性ピル)、月経のタイミングを調節できます(月経移動)
⑤薬の種類によっては(1相性ピル)、月経を数か月に1回に減らすことができます
ただし、不正出血で上手くいかないケースもあります。
⑥将来的に子宮内膜症→不妊 になる可能性が下がります(私見です)
もともとは③のための薬ですが、現在は副効用としての①②④⑤目的に使用しているケースが圧倒的に多いです。
個人的に、勉強や部活を頑張っている学生さんにとって、④のメリットは計り知れないと思います。大事な試験や試合、学校行事と月経が重ならないようにできるわけですから。
バリバリ働いている女性も同様で、仕事上の大事な会議やイベント、試験などと月経が重ならないほうがいいですよね。
また、①②で楽になるとはいえ、それでも毎月つらい症状がある人にとっては、⑤がとてもよい方法になります。
私が女性なら、基本⑤にしながら、④も組み合わせます。
不正出血で上手くいかない方もいますが、基本的に月経は2~4か月に1回で、かつ自分の意思で起こすタイミングを選べるようになります。
4)ピルのデメリット
ピルに限りませんが、どんな薬も一定の確率で副作用が起こります。
ただし、以前よりは大分マシにはなっていますが、日本ではまだ「ピルは怖い・危険な薬」という認識が無くなりません。
漠然と怖がるのではなく、飲むことのデメリットをしっかりと理解したうえで、メリットと天秤にかけて判断して欲しいです。
大切な内容なので、詳細は以下に別でまとめました。
5)小学生は飲めない?
特にお母さんからよく質問されます。
基本は、月経がはじまった方であれば何歳からでも内服可能です。
また、現在の日本では、ピルは避妊よりも月経の症状緩和目的で飲んでいる方が圧倒的に多いです。
まだ小さいから、という理由で我慢せず、月経の辛い症状が続く場合はぜひ産婦人科でご相談ください。
6)まとめ
改めて、月経で困っている方にとっては、大げさでなく人生が変わる薬だと、個人的には思います。
高価な薬でもないので、危険性もきちんと理解したうえで、まずはお試ししてみることを強くお勧めします。
ピルで、月経との付き合い方をもっと快適にしましょう。
産婦人科医まさ
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