また、一般的な不妊治療は夫婦生活のタイミング合わせ(排卵時期を狙っての夫婦生活)から始まるため、そこでも男性の協力は欠かせません。
出産後の子育ても、もちろんご自身一人で行うものではありません。
男女2人で一緒に行う治療なんだ、男性の協力は欠かせないんだ、という事を2人で良く話し合ってから検査や治療を始めるのが、理想的です。
1)そもそも不妊症とは?
1年以上、妊娠を望む男女が避妊せずに性交を行っても妊娠しない状態のことです。
しかし、年齢や基礎疾患などによっては、1年を待たずに検査・治療を行うことが望ましい場合もあります。
近年は晩婚化に伴って不妊症に悩むカップルが増えており、現在日本では約5.5組に1組のカップルが不妊の検査や治療を受けているといわれています。
2)不妊症の3~5割は男性にも原因がある!?
世界保健機関(WHO)の報告では、不妊の原因は以下とされています。
女性に原因あり | 41% |
男性に原因あり | 24% |
男性、女性ともに原因あり | 24% |
原因不明 | 11% |
また、日本受精着床学会が行なった不妊治療患者によるアンケート調査では、原因が判明した場合の比率は以下のようになっています。
女性に原因あり | 59% |
男性に原因あり | 33% |
その他 | 8% |
(ただし、日本のデータは、2004年と古いです。当時は、男性の協力(≒精液検査の施行率)がもっと低かった影響で、男性が原因の割合は実際より低く出ているのではないか、と個人的には考えています。)
3)男性不妊とは?
不妊の原因が男性にあるものを、男性不妊と言います。その原因は、以下の3つに分類されます.
①精子がうまく作れない(無い、少ない):82%
②精子は作れるが、勃起しない・射精できない:14%
③精子は作れるが、通り道がふさがっているため、射精液に精子が含まれない:4%
妊娠のためには、女性の体内で「排卵→受精→着床」の3つ全てが上手くいく必要があります。
不妊治療の前に、これだけは知っておくべし!~妊娠のメカニズム~ – 産婦人科医まさ のブログ (hi-blog-happydays.com)
男性不妊では、性交に問題がある(上記②)か、精液に問題がある(上記①③)か、のいずれかにより、受精が上手くいかないために不妊となります。
②は、素人でも不妊の原因になる、とイメージできますよね。
問題は①と③です。射精液の大半は前立腺液や精嚢液ですので、①でも③でも、全く問題なく性交も射精も出来ます。つまり、①と③は、精液検査をしないと絶対にわからないんです。
4)治療法(対処法)
一番重要であり、皆さんが一番知りたいところだと思いますので、別記事で詳しくお伝えしたいと思っています。
治療法を正しく理解するには、妊娠のメカニズムの理解が必須ですので、先程も示した、以下のリンクを読んでおくことをお勧めします。
不妊治療の前に、これだけは知っておくべし!~妊娠のメカニズム~ – 産婦人科医まさ のブログ (hi-blog-happydays.com)
5)まとめ
◎約1割の原因不明を除くと、不妊の原因の男女比はほぼ1:1。よって、治療を始める際には、精液検査はマスト!
◎男性不妊の原因は ①精子がうまく作れない②精子は作れるが、通り道がふさがっているため、射精液に精子が含まれない③精子は作れるが、勃起しない・射精できない のどれか。
①と②は精液検査をしないと絶対にわからない(①や②であっても、普通に性交や射精は可能)!
精液検査は、受ける側にとって、決して気持ちの良い検査ではありません。
しかし、女性は、検査や治療のたびに下着を脱いで内診台に上がっています。おそらく、精液検査の比でない想いや覚悟で毎回の通院を行っていると思います。
いつか2人の間に生まれてくる子供のために、ぜひ「2人で協力して」検査や治療に臨んでくれると嬉しいです。
産婦人科医 まさ
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