【不妊治療】~いつから病院に行くべき?~

2人ともすごく落ち込んでいる不妊カップル 不妊
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 自分たちで妊活を頑張ってはいるけど、なかなか妊娠しなくて。

 通院を考えているんですが、どんなことをするのか全然わからないので不安です。

 なるほど。確かに、治療内容やスケジュールがわからないと、通院できるかどうかの判断もできませんよね。

 

 それでは、妊娠のための治療について、大まかな説明をしていきます。それぞれを詳しく言い始めると時間が足りないので、それぞれの詳細は後日追加していく予定です。

 

1)いつ病院へ行ったらいいの?

 一つの目安となるのは、妊活を積極的に半年~1年頑張っても妊娠しない場合、です。

 ある方法で妊娠する場合、その大半は半年(~1年)以内に妊娠する、とわかっているからです。言い換えると、半年~1年間妊娠しない方法では、同じことを続けても妊娠する可能性が低い、と言えます。

 また、一般的に高齢になるほど妊娠する確率は下がっていきます。35歳以上の方は、早めに受診することをお勧めします。

 一般的には、検査のために月数回。治療が始まったら最低でも月に2~3回。は通院が必要になります。

2)超重要。妊娠のための3step

1)排卵 2)受精 3)着床

この3つがすべてうまくいって、初めて妊娠成立となります。どれか1つでもうまくいかなければ、妊娠することはありません。

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1)排卵 がうまく行かない場合は、排卵誘発を行うことになります。代表例は、多嚢胞性卵巣(症候群):PCOs です。

2)受精 がうまく行かない場合の原因として多いのは、①精液異常(精子が無い、極端に少ない 等)と②卵管閉塞(腹腔内の癒着により、排卵した卵子をキャッチする卵管采が機能しない)の2つです。

 精子が極端に少ない場合と、左右両側の卵管が完全に閉塞している場合は、どれだけ妊活を頑張っても自力では妊娠しません。ので、パートナー男性の精液検査と子宮卵管造影は、治療開始までには必ず行いましょう。

3)着床 がうまく行かない原因は、頸管粘液、子宮内膜、卵管、腹腔内癒着(クラミジア、子宮内膜症など)など様々です。考えられる原因によって対応法も変わってきます。

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3)治療法

 一般的な検査(エコー、子宮頸部細胞診、クラミジア、ホルモン採血、子宮卵管造影、精液検査など)に大きな異常が無ければ、治療を開始します。一般的には以下の順にstep upしていくことになります。年齢等にもよりますが、長くても6か月(6周期)で次のstepに移行するのが一般的です。ただし、金銭面も含め、各家庭の事情がありますので、好ましいと思われる医学的判断をお伝えしたうえで、患者さんと相談しながらstep upを決めることになります。step upするごとに、通院回数は増えるし、費用もかかるようになります。

1)タイミング法
 月経周期8~12日目頃より、受診して尿中(または血中)LH、頸管粘液の性状、内膜および卵胞の状態 などから総合的に判断し、排卵時期を予想→夫婦生活の時期を合わせる

 月経が28日型で規則的であれば、月2~3回の通院で済むことが多いですが、月経が不規則だったり排卵が不安定な場合は通院回数が増えることも多いです。

2)排卵誘発
 排卵がうまく行かない場合は排卵誘発薬を使います。効きすぎると多胎や卵巣過剰刺激症候群のリスクがあるため、少量から開始します。

 自発排卵がうまく行っていても1)でうまく行かない場合は、排卵の質を高めるイメージで排卵誘発を行う場合もあります。

3)人工授精

 1)では、精子は膣内→頸管粘液を通り抜けて子宮頸部→子宮体部→卵管→卵管さいにある卵子 にたどり着いてようやく受精準備完了となります。

 人工授精では、

 ・ワープして子宮体部まで ・かつ活きのいい精子のみを選抜して

届けてあげることで受精率を高めます。

 頸管粘液や卵管、精子に問題がありそうな場合は、初めから選択する場合があります。

4)体外受精

 卵巣に針を刺して卵子を採取(採卵)→試験管内で精子と受精させる→受精卵を子宮内に戻す(胚移植) を行います。条件を満たせば、保険でも行えるようになりましたが、通院とお金の負担が大きい治療にはなります。ただし、妊娠率は一番高いです。

 高齢、卵巣予備能、お腹の中の状況(ひどい内膜症合併など)によっては、早めに、または初めから勧められる場合があります。できるだけ早く妊娠したい、という事で初めから希望される方もいます。
 

4)最後にアドバイス

 不妊治療に関しては、年を取った方がプラスになることはまずありません。

 逆に2年、いや、1年でもいいから前に来てくれていたらな、と思うケースは非常によくあります。

 過去にさかのぼって治療をやり直すことは出来ませんので、妊娠の希望があってうまく行かない場合は、まず一度、早めに婦人科を受診することを強くお勧めします。

 

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                          産婦人科医 まさ

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